フロントエンドエンジニアの基本はWeb標準から始まる。
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そう信じていた井の中の蛙。筆者のことです。
エンジニアとしてのキャリアを積み上げてきた最初の世界では、Web標準への準拠は基本中の基本のことで、もっとも重視されていたように思います。
Web技術と共に十数年生きてきましたが、その世界しか知らない筆者は、誰もがそうしたロードマップでスキルを身につけてきたと信じていました。よく考えたらそんなわけないのですが、「常識とは偏見のコレクションでしかない」とはよく言ったものです。
一方で、それはWeb標準への意識を持たなくても良いということにはならないと思っています。何のために数えきれない専門家や技術者たちが叡智を結集させ、仕様をまとめて勧告しているのか。どうしてWeb標準が後方互換を保っているのか。ひとえにすべてのWeb利用者のためです。
同じ技術・土台で開発ができ、誰もがコンテンツを利用できて、Webというプラットフォームを維持継続させるために、数えきれない人々が協力して守っている技術がWebです。
Webは誰もが利用できることが重要だとする The power of the Web is in its universality. Access by everyone regardless of disability is an essential aspect.
という有名な言葉がありますが、これは私たちフロントエンドエンジニア1人1人が守る意識をもってこそ、真に実現するものです。
昨今では「フロントエンド」の領域が広範になりすぎていて、必要な知識の領域がプロダクトによって大きく異なるという話もよく聞きます。その点を踏まえると、HTMLやCSS、JavaScriptなど、Web標準の基本の学習は比較的優先度が控えめになっているのかもしれません。また、フレームワークやライブラリを用いることが当たり前になっていて、根本的な技術に対しての意識を持たずに「動くもの」も用意できてしまいます。だからこそ、「誰もが使えるWebを誰もが使えるように作る」というWeb標準を意識できている人々が、根気強く伝え続けなければなりません。 どれだけ何かが優れていても使えない人がいるならば、それはUIとして機能してると言いがたいからです。
Web標準を守ることは難しくありません。たとえば、ボタンに見える<div>
要素や、<span>
要素でできてるフォームのラベルがいないか確認するくらいならいつだってできます。
はじめてならMDNでHTMLリファレンスをちょっと読んでみるとか、慣れてきたらHTML Living Standard日本語訳(原文)を読んで見よう!とか、興味を持つことが何より大切なことだと思います。
HTMLをはじめとするWeb標準を意識することで、少なくともそのWebコンテンツは誰でも使えるものに近づいていくでしょう。さらには、WebアクセシビリティやSEOの側面も自動的に向上していくはずです。
Webにコンテンツを提供する技術者ならば、Webコンテンツとして「どうあるべきか」を忘れてはなりません。Web標準を意識しない開発は、必ず静かな技術的負債を生み出します。
どうか、週に1度はWeb標準に意識を向けてみてください。そんな一歩が、必ずユーザの喜びにつながると筆者は信じています。